交通事故と弁護士

【人間相手の交通事故】

刑事事件になる交通事故は基本的には人身事故だけになりますが例外もあるので、必ずしも怪我人がいなければ刑事事件にならないとは限りません。 誰にも重症を負わせなくとも、派出所に軽トラックで突っ込んでそのまま逃走したらこれはもう立派な刑事事件となるのがほんの一例ですが、他にも人間を巻き込まずに刑事事件となり弁護士のお世話になるパターンもいくつかあります。 ですが基本は人身事故で、誰かを負傷させてしまったり死亡させてしまったケースが大半を占めるのでこちらをメインに解説していきましょう。 また人身事故でも被害者にそれほどのケガを負わせなかった場合は弁護士の先生には依頼せず、加入している保険会社の方と相手方がやりとりして済ませる場合の方が圧倒的に多いかもしれません。 例えば軽い鞭打ちだけでちょっと首が痛むけどそれだけ、とか気分が悪い気がするけど通院するほどではないよ、程度なら有能な弁護士にお手伝いしてもらうまでもありませんし、出番はやってこないのです。 相手に入院するような大怪我をさせてしまった後遺症が残るほどの、とか事故が原因で死亡したなんてことになったら、賠償や示談の難易度も上がりますし厳しい裁判になるでしょうから、刑事事件に強い弁護士さんの出番となります。 弁護士が裁判の行方を左右するほどの役割を演じてくれる、そうしたケースにおいてのみサポートしてもらうことになるでしょう。

【人身事故での逮捕】

軽度の人身事故なら略式請求されて罰金刑だけで済み、公判請求まではいかないことがほとんどになるでしょう。 重度の心身事故や飲酒運転などの複合技でもない限りは、よほど悪質だとみなされるケースでなければ弁護士に頼ることもありません。 ですが大きな事故で逮捕された場合は、とりあえず早く釈放されたいですし弁護士にそう働きかけてもらうことになります。 一番まずいのは人身事故を起こしてからのひき逃げで、このケースではもしも釈放したらまた逃げるのではないかと思われて簡単には釈放してもらえません。 本人が「逃げないからここから出してよ」と言っても信用してもらえませんし、こういうことに強い弁護士さんが「大丈夫ですよ、逃げるおそれはありません」と弁護活動をしてくれなければなかなか釈放されないのです。 けっこう重い罪を犯してしまったのなら自力で脱出しようと無理はせず、優秀な弁護士を味方に付けることが青空の下に出る近道となるでしょう。 留置されずに出頭命令が下されるくらいならそう深刻にならないでしょうが、逮捕されるというのはとても不安な気持ちになり早くそこから出して欲しいと切実に願うものです。 でも願っているだけではなかなか釈放されませんし、轢き逃げ犯をそう簡単にそこから出してくれるほど日本の警察は優しくはありません。

【示談と謝罪】

弁護士さんが交通事故の刑事事件に強いのは、早期に釈放を実現させてくれるからだけではありません。 その後の裁判に向けてもいろいろと手を焼いてくれますので、とっても安心して頼りがいのある姿がかっこいいのです。 交通事故においては起訴するかどうかを検察官は決めるのですが、そこで判断材料になるのは被害者と加害者の間で示談が成立しているかどうかです。 これには謝罪も含まれており、両者が和解していれば不起訴になる可能性もあるのでけっこう重要なことなのです。 大怪我をさせてしまった人身事故だとわりかし難しい交渉になるので、本人が直接謝罪に伺ってもなかなかうまくはいきませんし、死亡事故だったら感情的になって「顔も見たくない帰ってくれ」と追い返されることもよくあるようです。 しかも何度足を運んでもそれの繰り返しで、許してもらえずにどんどん時間だけが無意味にむなしく過ぎ去っていくのです。 そこで手馴れた弁護士の出番となるのですが、なにもトークがお上手なことだけがこの場合では役立つのではありません。 加害者側の代理人という立場なので、被害者側も本人を目の前にするより感情的にならないという作用もいい方向に示談を進めてくれるでしょう。 これが上手な弁護士が刑事事件に強いと言えますから、話をしてから決めるのなら示談交渉は得意そうかをチェックしましょう。

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